気管支学
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症例
気管支鏡下生検で診断に至った肺原発髄膜腫の1切除例
政井 恭兵朝倉 啓介鈴木 繁紀吉田 幸弘中川 加寿夫吉田 朗彦元井 紀子土田 敬明渡辺 俊一
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2019 年 41 巻 4 号 p. 359-363

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抄録

背景.肺原発髄膜腫は髄膜を構成するくも膜細胞に由来する極めてまれな腫瘍である.症例.60歳,女性.健診で胸部異常影を指摘され肺癌疑いで紹介となった.CT上右下葉S10cに境界明瞭で辺縁整な結節を認めた.Bronchus sign陰性の末梢病変であったため,最も病変に近いB10cに気管支鏡を挿入しガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(Endobronchial ultrasonography with a guide-sheath;EBUS-GS)を用いて生検を行った.Hematoxylin and eosin(HE)染色を行うと,腫瘍細胞は核内封入体を伴う卵円型核を有し,淡好酸性の胞体を有するくも膜細胞に類似していた.腫瘍は分葉状増殖を示し,腫瘍内には渦状紋状形成,砂粒小体を認めた.免疫染色ではEMA陽性,PgR陽性であった.以上の所見より髄膜腫と診断し,胸腔鏡補助下右肺底区切除を施行した.結語.気管支鏡生検が術前診断に有用であった肺原発髄膜腫のまれな1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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