気管支学
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症例
嗄声が先行した原発性気管気管支アミロイドーシスの1例
五十嵐 修太江村 正仁中村 敬哉林 孝徳小林 祐介野村 奈都子太田 登博吉岡 秀敏庭本 崇史西川 圭美
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2016 年 38 巻 6 号 p. 500-504

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抄録

背景.原発性気管気管支アミロイドーシスは稀な疾患であるが,特異的な症状を呈することは少なく,本疾患を疑うことは容易ではない.症例.85歳,女性.約2年前から嗄声を自覚しており,肺炎を罹患した際に撮影された胸部CTにて気管の壁肥厚が指摘された.気管支鏡では喉頭披裂部から気管まで全周性に広範な浮腫性変化及び狭窄所見を認め,気管生検にて気管上皮下にAL型アミロイドの沈着が証明された.他臓器へのアミロイドの沈着はなく,二次性アミロイドーシスの原因となる疾患は認めなかったため,原発性気管気管支アミロイドーシスと診断した.考察.既報では気管気管支アミロイドーシスに嗄声は34~35%程度に認められ,喉頭アミロイドーシスの合併により出現すると考えられる.一般的に呼吸器疾患の症状として嗄声は注意を必要とするものであり,他の呼吸器症状と嗄声をきたす症例に関しては気管気管支アミロイドーシスも鑑別に加え評価をすべきである.

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© 2016 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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