気管支学
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気管支動脈造影にて硬化性血管腫を疑った肺カルチノイドの 1 例
片岡 和彦松浦 求樹妹尾 紀具
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1997 年 19 巻 7 号 p. 565-568

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抄録

気管支動脈造影にて肺硬化性血管腫を疑った腫瘤を切除し, 病理学的に肺カルチノイドと診断された症例を経験した。症例は58歳の男性で, 検診にて胸部異常影を指摘された。胸部CTにて左S^6に肺動脈下幹に接して著明に造影される類円形腫瘤を認め, 肺動脈瘤が疑われた。肺動脈造影にて異常を認めず, 気管支動脈造影の動脈相にて拡張した動脈の網目状所見と実質相にて境界明瞭な濃染像を認めたため, 肺硬化性血管腫を疑って手術を施行した。術中の迅速診断で悪性腫瘍と診断されたため, 左下葉切除を施行した。病理学的にtypical carcinoidと診断された。肺硬化性血管腫と肺カルチノイドはともに比較的境界明瞭な類円形の腫瘤像を呈し, 気管支動脈造影でも似た所見を呈した。画像による鑑別診断は今後の課題と考えられた。

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© 1997 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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