1997 年 19 巻 7 号 p. 531-534
症例は57歳, 男性。急性転化型成人T細胞白血病の寛解中に発熱と急速な呼吸困難が出現し, 胸部X線にて両側肺の浸潤影を認めた。臨床経過より腫瘍細胞の肺浸潤が疑われたため気管支肺胞洗浄を施行。ATL細胞とニューモシスチス・カリニのシストを検出し, ATLの肺浸潤とカリニ肺炎の合併と診断し, 速やかな治療にて一時的に病状の安定を得た。重篤な基礎疾患に加え呼吸不全状態であったが気管支肺胞洗浄は安全に施行でき, 肺病変の確定診断と以後の治療に有用であった。