1996 年 18 巻 1 号 p. 67-72
気管支拡張症に非定型抗酸菌症を併発し血清CA19-9が高値を呈した症例を報告する。症例は67歳女性, 陳旧性肺結核, 気管支拡張症で近医で治療を受けていたが, 経過中, 左側胸部痛, 咳嗽が出現し, 喀痰検査にて抗酸菌(Gaffky 3号)が出現したため当科へ紹介され入院となる。培養同定検査にてMycobacterium avium complexと同定された。入院時血清中CA19-9は2426U/mlと高値を示した。産生部位を検索する目的で病変肺と健常肺で気管支肺胞洗浄を行った。洗浄液中のCA19-9を測定すると病変肺では健常肺に比べ著明に高値であり, また洗浄液中のCA19-9は血清中のそれよりも高値であった。以上より血清中のCA19-9は病変局所より産生され血中に放出されていることが推測された。