1990 年 12 巻 4 号 p. 428-433
喀血が契機となり発見され, 右下葉切除が施行された原発性気管支動脈蔓状血管腫の1例を経験したので報告する。症例は18歳男性, 突然出現した喀血の原因検索のため気管支鏡を施行し, 右下幹に隆起性病変を認めた。本症の確定診断の為に気管支動脈造影を施行, 右下葉の気管支動脈の拡張, 屈曲, 蛇行及び肺動脈との異常短絡が認められた。このように気管支鏡検査で隆起性病変を認めた場合, まれではあるが本症のような血管性病変も考慮し, 生検には慎重な検討が必要である。