1988 年 10 巻 3 号 p. 327-332
サルコイドーシスの肺機能所見は, 主に拘束性換気障害であるが, 稀に閉塞性換気障害を示すものがある。本症例では息切れ, 頸部リンパ節腫脹, 胸部X線写真上異常を指摘されたため当科を紹介された。肺機能検査でFEV_1%が50%と低下を示したが, 肺気量分画, 肺拡散能は正常であった。努力呼気曲線より, 中枢気道および末梢気道の障害を疑って気管支鏡検査を行なった。気管支粘膜は血管の増生, 黄白色斑, 気管支の圧排・狭窄を認め, 気管支粘膜の生検によりサルコイド肉芽腫が証明された。本症例における閉塞障害は各区域気管支レベルの著しい狭窄に伴うものと考えられた。