歯科医学
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咬合支持と踵骨骨密度との関連性についての多変量解析
三木 仁志田中 昌博川添 蕘彬
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2003 年 66 巻 1 号 p. 63-71

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抄録

本学附属病院補綴咬合治療科を受診した女性患者100名を対象に,咬合支持と踵骨骨密度との関連性を多変量解析の手法により検討した.閉経前女性患者,ホルモン補充療法受療者,および骨粗鬆症患者は対象から除外した.骨密度(超音波骨密度測定法)をもとに対象者を要精検群(62名),要指導群(18名),正常群(20名)の3群に分類した.また,後ろ向き調査によって診療録から得た初診時の咬合支持域を,Eichner分類にしたがって3群に分類した(Model-Tではclass A, B,Cの3群), Model-IIではclass A,B1〜B3,B4+Cの3群).目的変数を骨密度の3群としたロジスティック回帰モデルにより,多変量調整オッズ比(mul-OR)および95%信頼区間(95% Cl)を計算した.同時に考慮した説明変数は,初診時咬合支持域,初診時年齢,初診後経過年数,咬合支持喪失の有無,義歯装着期間,閉経年齢,子宮・卵巣摘出術の有無,口腔健康状態,BMI,喫煙習慣の10要因である.Model-Iで得られた初診時咬合支持域の骨密度低下に対するmul-ORは,class Aを基準としたとき,class Bで3.17(95% Cl : 0.93-10.85)と境界域の上昇,class Cで5.11(1.02-25.62)と有意な上昇を示し,量反応関係も有意であった(Trend p=0.030).また,model-IIにおいても,class B 4+Cで8.75(1.77-43.31)と有意な上昇を示し,量反応関係も有意であった(Trend p=0.008)以上,閉経後女性において咬合支持の喪失と踵骨骨密度の低下との関連を認め,とくに臼歯部における咬合支持喪失との強い関連が示唆された.

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© 2003 大阪歯科学会
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