歯科医学
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NK様細胞株NK3.3細胞の細胞内顆粒放出能および細胞傷害活性に及ぼすMCP-1の効果
米田 修梅原 久範合田 征司井上 博今井 久夫堂前 尚親
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1999 年 62 巻 3 号 p. 136-142

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抄録

NK細胞は,抗原感作非依存的に腫瘍細胞を認識し殺傷するリンパ球として知られている.悪性黒色腫や腎癌に対し,IL-2によって活性化したNK細胞やT細胞を用いる免疫療法が行われているが,標的腫瘍への集積不良や血管透過性亢進による全身浮腫など改善すべき点が多々ある.CC-ケモカインのmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)はNK細胞に対して化学遊走能を惹起することが報告されていることから,免疫療法の改善に用いることが可能か否か検討するために,MCP-1のNK3.3細胞活性に及ぼす効果について検討した.NK3.3細胞の表面発現分子は新鮮NK細胞と酷似しており,さらに抗CD2および抗CD16抗体架橋刺激による顆粒放出能を示したことより,NK3.3細胞を本研究に使用した.IL-2は濃度依存性にNK3.3細胞の増殖を促し,MCP-1とIL-12は増殖能を誘導しなかったが,NK3.3細胞からの顆粒放出はMCP-1,IL-2およびIL-12のいずれによっても増強した.また,MCP-1によるNK3.3細胞からの顆粒放出増強効果は培養開始1時間後より確認できた.さらに,MCP-1はIL-2やIL-12と同様に,またその濃度依存性にNK3.3細胞の細胞傷害活性を増強した.以上の結果より,MCP-1はNK細胞に対する化学遊走能惹起作用のみならず,細胞内顆粒放出を介した細胞傷害活性の増強作用を有し,免疫療法の改善に利用できる可能性が示唆された.

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© 1999 大阪歯科学会
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