1998 年 61 巻 2 号 p. 91-104
β-Lactam薬による歯周病原菌の細胞伸長とその伸長細胞のマクロファージによる貧食をあきらかにするために9種β-lactam薬, 5種Porphyromonas(6菌株)と6種Prevotella(6菌株)およびラット腹腔マクロファージを用いて検討した.6種Prevotella細胞はsubMICの1/64〜1/2MICのAZTで, また, 4種Porphyromonas細胞(5菌株)はsubMICのlatamoxef, piperacillinおよびcefteramで著しく伸長した.供試全β-lactam薬処理でP. intermediaを除く全供試菌株細胞はスフェロプラストを形成した.貧食率と貧食細菌数は正常細胞に比べて伸長細胞ではそれぞれ約1/2と1/3に減少した.以上の事実は, PorphyromonasとPrevotella細胞は異なったβ-lactam薬のsubMIC処理で著しく伸長することからペニシリン結合タンパク質のβ-lactam薬に対する親和性が両属で違っていることを示唆している.さらに, それら細胞に対するマクロファージの貧食能も減少することを示唆している.