大地の生い立ちを考えることは,知的な営みであり,想像力が刺激されて面白い.また,自分の住む地域の大地の特徴や歴史を知っておくことは,将来経験することになるであろう大地震や水害などの自然災害に備えるためにも,大切なことである.高校「地学基礎」の授業や一般市民向けの公開講座として,「府中の大地の生い立ち」をテーマにした教育プログラムと教材を開発した.この講座は,地域の地形や地質を知ることからはじめ,野外実習や火山灰の分析実験も取り入れ,最後は気候変動と段丘の関係から,地球レベルでの環境や地域の生い立ちを考えようという内容である.この講座を受けた生徒や一般市民の反応は良好で,地学の面白さを感じてもらうとともに,知ることの大切さに気が付く機会を提供することができたと考えている.