日本食品化学学会誌
Online ISSN : 2189-6445
Print ISSN : 1341-2094
ISSN-L : 1341-2094
論文・報文
AG-β-D-Galactosylsucroseが女性の便通および便性改善に及ぼす影響
緒方 幸代藤田 孝輝田中 竹美原 耕三谷本 敏子小泉 京子山本 巖
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 1 巻 1 号 p. 39-45

詳細
抄録

4G-β-D-Galactosylsucrose(ラクトスクロース、LS)は、Bifidobacterium増殖促進作用を有する難消化性オリゴ糖である。便秘若しくは便秘傾向にある健常成人女性(22.8±8.1歳)110名を対象として、LS摂取による便性改善作用について、排便回数、排便日数、便性状および排便感の点から検討した。試験は、LS摂取量を2g、3g、5g/日の3群に分け、非摂取期(対照期)2週間、LS摂取期2週間とし、うち摂取開始から2日間を誘導期とした。試験期間中の排便状況および食事内容を調査し、得られた回答を集計し、解析した。その結果、排便回数、排便日数はLS摂取期に増加を示し、3g/日、5g/日の摂取群で有意差が認められた(p<0.05)。対照期における排便回数、排便日数の少ない便秘傾向者ほど増加傾向は顕著であった。なお、LSは便性、排便回数に対して容量依存的ではなく、有効量の範囲が広いことが示唆された。排便状況では、LS摂取期に便の色がやや黄色化する傾向を示した。便の形状は「バナナ状」が有意に増加し(p<0.005)、体感する硬さにおいても適度の軟便化が認められた(p<0.01)。排便後の爽快感は有意に向上した(p<0.01)。また、試験期間中の胃腸症状は一過性のものが殆んどであった。LS摂取により便通、便性状が改善されることが示された。最後に、本試験を行なうにあたり、貴重なご助言を頂きました武庫川女子大学薬学部の山内和子助教授、ならびに多大なる御理解、御協力を頂きました被験者の方々に深謝申し上げます。

著者関連情報
© 1995 日本食品化学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top