石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
状態方程式による多成分系油層シミュレーションのための効率的な相平衡計算
本阿彌 幸子在原 典男佐藤 光三武田 秀明矢澤 仁徳
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2001 年 44 巻 4 号 p. 244-251

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抄録

多成分系シミュレーターによってガスコンデンセート層等の挙動予測を行う場合, 計算時間を許容内に押さえるため, 流体をいくつかの擬似成分で表すのが一般的であるが, その場合, 流体組成の詳細なデータが損なわれるのが欠点である。
本論文は多成分系シミュレーターにおける状態方程式の計算法の精度と速度を評価し, モデルの計算効率を向上させることを目的とする。そのため, ここでは相平衡計算法として逐次代入反復法 (SSI), SSIと最小変数ニュートン•ラフソン法の組合せ法 (SSI+MVNR), および直接法とMVNRの組合せ法 (DFC+MVNR) を, 未知数の削減が可能な一般化 Michelsen 法の形で組込むことにより多成分系モデルを構築した。
各相平衡計算法を評価するために, ガスコンデンセート層における単一坑井モデルを設定し, 擬似成分数を変えて計算を行った。SSI+MVNRおよびDFC+MVNRでパラメーターを削減すると, 相平衡計算時間は, 特に擬似成分数が多い場合, 従来法に比べて格段に減少することを確認した。また, 未知数の数が少ないほど計算時間も減少するが, 相互作用パラメーター (BIP) を全てゼロにすると, 1成分以上にBIPを設定した場合とは異なる結果となることを確認した。

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