石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
均一沈殿法により調製したNi/MgO触媒の性状と活性
秋吉 亮田中 裕敏小幡 英二安藤 公二
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1994 年 37 巻 3 号 p. 293-299

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抄録

均一沈殿法で調製したNi/MgO触媒の性状と触媒活性を研究した。沈殿生成の条件を検討し, 触媒の熱処理, 昇温還元, 一酸化炭素の水素化, メタノールの分解について調べた。シュウ酸マグネシウムとシュウ酸ニッケルからなる沈殿の収率は [(C2H5)2C2O4]/{[Mg(NO3)2]+[Ni(NO3)2]}≒4 (mol/mol) で, 酢酸濃度が10~12mol•l-1の時に最も高かった。触媒の昇温還元試験から, ニッケルの担持率の低い時および高温焼成時触媒中のニッケルは固溶体を形成していることが認められた。担持率が高くなると, ニッケルは固溶体および遊離のニッケルとして存在していることが認められた。焼成温度500°Cのの時ニッケルの還元率が最も高かった。500°C以上で固溶体の生成が進む傾向にある。還元雰囲気では触媒上のニッケルは固溶体になりにくかった。触媒活性はニッケル還元率と深く関係することがわかった。一方, 含浸法触媒Ni/MgO(I)は焼成雰囲気では特に固溶体を形成しやすかった。その結果, 含浸法触媒は還元率が低く, したがって触媒活性も低かった。含浸法触媒と比較して, 均一沈殿法触媒は触媒活性, ニッケル還元率の点ですぐれ, NiO-MgO系で固溶体を作りにくい触媒の調製法の一つであると思われる。

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