水稲乾田直播栽培における除草剤の適期散布に資するため,ノビエ葉齢の推定式を作成した.場内圃場での作期移動試験および現地乾田直播圃場における年次,作期,場所等多様な条件下でノビエ最大葉齢を調査し,メッシュ農業気象データの日平均気温を用いて検討した.その結果,乾田直播圃場ではノビエの葉齢進展が耕起起点と除草剤起点とで異なり,起点事由別に分ける必要があること,控除値を7℃とする有効積算温度が推定に適していることが明らかとなった.さらに,圃場では温度以外の要因により葉齢進展が遅れる可能性があることを考慮し,推定式の作成には実測した最大葉齢と算出葉齢の回帰直線以上のデータのみを用いることとし,このデータから算出した回帰式を推定式とした.このように作成した推定式は,実測葉齢と推定葉齢の差が+0.5葉以内に全データの内96%が収まっており,実測が推定を大きく上回ることが少なく,早期播種や高標高地を含む現地データで検証しても適合が悪くなる特定の要因は認められなかった.したがって,作成した推定式は中国地方において多様な条件下にある乾田直播圃場で実用上問題ないと判断した.