日本作物学会紀事
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グリーンパニック(Panicum maximum Jacq. var. trichoglume Eyles)の乾物生産に及ぼす植物生長調節剤処理と施肥の影響
沈 益新伊藤 浩司石井 康之田中 重行田中 典幸
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1994 年 63 巻 4 号 p. 582-588

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抄録

暖地型イネ科牧草グリーンパニック, 品種ペトリーの乾物生産に及ぼす植物生長調節剤処理と施肥の影響を, 処理した1番草の生長の変化と1番草刈り取り後の無処理の2番草の生長の変化との関連に着目して検討した. 1993年4月21日に播種し, 圃場栽培した材料を7月8日に次の4区に分けた. すなわち, 生長促進剤処理区(ジベレリンA3の200 ppm水溶液90 mL/m2を葉面散布, G区), 生長抑制剤処理区(パクロブトラゾールの860 ppm水溶液90 mL/m2を葉面散布, P区), 多肥区(N, P2O5, K2O各10 g/m2を増施, H区)および対照区(C区)である. 処理後26日目の8月3日に地上3 cmの高さで刈り取リ(1番草), その後の2番草は各区とも無処理で育て, 1番草の処理時から9月14日の2番草刈り取り時までの処理区の生長を対照区と比較した. 処理の直接的影響により, G区では茎数の増加が抑制され, P区では分げつの伸長生長が抑制されて, 両区ともに1番草の収量はC区より少なかった. しかし, 2番草では両区とも, 茎数増加が急速となって, 収量はC区より多くなった. この2番草の茎数増加はG区では, 1番草の茎数増加の抑制により株基部に保存された多数の分げつ芽が刈り取り後に生長したことに基づき, P区では, 1番草における分げつの伸長抑制により, 生長点を刈り残された分げつが多く, 刈り取り後はその分げつが多くの新分げつを生産したことに起因した. H区では処理の直接影響により, 1茎重の増大が促進されて1番草の収量はC区より大きくなったが, 刈り株に2番草の茎数増加を促進する要因が形成されず, 2番草の収量はC区にやや劣った.

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