1988年と1989年の15回の播種期試験における発育のデータから, 北海道育成の早生品種ハルユタカとドイツ育成の晩生品種Selpekの気温および日長に対する発育反応の違いについて回帰式により生育相別に検討した. 気温と発育速度との間には, 両品種とも全生育相で高い正の相関関係が認められ, 生育前半(生育相IとII)では高温条件下においてハルユタカの発育速度がSelpekに比べ高くなることが示され, 登熟期間(生育相IVとV)では低温条件下においてSelpekの発育速度が著しく低下することが示された. さらに生育前半では両品種ともに日長とサーマル発育速度(発育速度を気温で除したもの, 1/D(T-TB), D:日数, T:気温, TB:基底温度)との間に正の相関関係がみとめられ, ハルユタカの発育速度がSelpekに比べ日長の影響を強く受けることが示された. 一方, 1986年, 1987年および1991年の3回の試験における発育データの実測値と計算値を気温と発育速度および日長とサーマル発育速度との関係を示す回帰式を用いて比較したところ, 各生育相とも近似した値を示し, 出芽期から積算して平均3.8日の誤差が認められるに過ぎなかった.