日本補完代替医療学会誌
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原著
Coix-seed Reactive Derivatives(CRD)の女性における手足の冷えに与える影響: 無作為化比較対照試験
鈴木 信孝 許 鳳浩大桑(林) 浩孝上馬塲 和夫橋本 慎太郎
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2020 年 17 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

古来,ハトムギは体を冷やす漢方素材の代表格とされ,熱がこもりやすい湿熱質の人には適しているが,冷え症の者は摂取を避けることが望ましいとされてきた1).ハトムギ全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives:CRD) は, 通常の漢方薬( ヨクイニン)で使われている精白粒はもちろん,ハトムギ糠,薄皮,外殻すべてを熱水抽出して得られたエキスである.今回,女性90 名を無作為に3 群に割付し,CRD 2 g/ 日(30 名),4 g/ 日(30 名) またはプラセボ(CRD 0 g/ 日) を8 週間摂取させ,手足の冷え(手足寒)の度合いをVisual Analogue Scale(VAS) で評価した.結果は,t 検定では,摂取前と比較し,摂取2 週間後,4 週間後,8 週間後において,プラセボ群では冷えは改善しなかった(p=0.082, 0.067, 0.237).一方,CRD 2g 群ではそれぞれ有意に改善した(p=0.046, 0.005, 0.030).CRD 4 g 群では摂取2 週間後,4 週間後ではそれぞれ有意に改善し(p=0.002, 0.009),4 週間後では有意差は認めなかった(p=0.167).また,一元配置分散分析(one way ANOVA) では,プラセボ群とCRD 2 g 群では有意差は認めなかったが(p=0.571, 0.428),CRD 4 g 群では有意に改善した(p=0.033).以上の結果より,CRD 摂取は,手足の冷えを増悪させる ことはなく,むしろ,改善する作用を有することが示唆された.

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