1983 年 8 巻 3 号 p. 327-332
殺菌剤 dialkyl dithiolanylidenemalonate 類はイネ体内では安定で, 半減期は2.0~3.8日であった. ジチオラン環構造のない誘導体は半減期が0.8日で, 非常に速やかに分解を受けた. これはチオエーテル基の酸化によるものと考えられる. ラット肝ホモジネートでもNADPH存在下の酸化には環のない誘導体が不安定であった. NADPH無添加時は, エステラーゼ活性のみが顕著で, 環の有無は安定性に関与しなかった. dialkyl dithiolanylidenemalonate 類のエステル加水分解速度は, アルキル基のα-位での分岐に伴い, 低下し, アルキル基の電子供与性 (あるいは立体的な嵩張り) と相関した.