Journal of Pesticide Science
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環状イミド系化合物と protoporphyrinogen IX の分子形状類似性
浦口 亮一佐藤 幸治中山 章助川 正之岩滝 功Peter BÖGER若林 攻
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1997 年 22 巻 4 号 p. 314-320

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抄録

環状イミド系化合物は, クロロフィル生合成経路中の酵素である protoporphyrinogen IX oxidase (protox) を拮抗的に阻害する. そこで, 環状イミド系化合物と protox の基質である protoporphyrinogen IX (protogen) の形状類似性を評価するために, MOPACのPM3法を用いてこれらの化合物の安定構造を求め, 立体的特性を比較した. 環状イミド系化合物は, イミド部とベンゼン環の二面角が240~270°のときに安定であることが示唆された. そして, この両者の比較から環状イミド系化合物は protogen のC, D環と重なり合った. また, C環の2-カルボキシエチル基はベンゼン環のメタ位の置換基と対応した. 環状イミド系化合物と protogen を最小二乗法により重ね合わせたときの shape similarity index (S) は, 0.62~0.85の範囲であった. そして, Sと protox 阻害活性の間に良好な相関関係が得られた. この結果から, 阻害剤と基質の部分構造との分子の形状類似性は protox における分子認識に重要であることが示唆された.

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