抗幼若ホルモン活性物質として知られるプレコセン2のセジロウンカに対する生物活性を検討した. その結果, プレコセン2は, 処理時のウンカのステージ, 処理期間 (取り込み量) を変えることにより1) 速効的な殺虫活性, 2) 早熟変態 (prothetely, 抗幼若ホルモン活性), 3) 過剰脱皮 (metathetely, 幼若ホルモン様活性) という3種の異なった作用を引き起こすことが認められた. このうち, 早熟変態については幼若ホルモン様活性物質であるNC-170の同時処理により作用の発現が打ち消されたが, 天然のJH-1, JH-2, JH-3の同時処理では打ち消されなかった. 一方, 抗幼若ホルモンであるプレコセン2が, なぜ metathetely を誘起するのかは不明であるが, 今回の実験結果における“処理期間と metathetely 発現との関係”, および, 過去, バッタ類で観察された同様の結果から推測すると, 虫体に取り込まれたプレコセン2の量が不十分であると, アラタ体を完全に不活性化できず, 逆に幼若ホルモンの生合成/分泌を一時的に促進する効果があるものと思われる.