Journal of Pesticide Science
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作物葉上の水滴の比付着力とそれに及ぼす影響要因
植物葉の濡れ現象に関する研究 (第4報)
渡部 忠一山口 勇
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1993 年 18 巻 1 号 p. 99-107

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抄録

作物葉およびワックス類似成分表面上の界面活性剤0.2%水溶液 (表面張力γ1:28.5~72.5mN m-1) の比付着力. Fsを新しい付着モデルによって算出した. イネ・コムギ・ハトムギ・キャベツおよびコーン (濡れ特性WCP-I) のFsは高いγ1では0または小であるが,γ1 40~62mN m-1で急に大きいFs (30~45mN m-1) を生じ, その後γ1の低下とともに直線的に3~5mN m-1まで低下した. ナツダイダイ・ササゲ・ワタ・ピーマン・サツマイモとソラマメおよびワックス類似成分表面 (WCP-II) では高いγ1で大きいFsを生じ,γ1の低下とともに直線的に減少した. WCP-Iの葉面はいずれも erect filament-platelet-rod の epicuticular wax (epi-wax) の密な着生を, また, WCP-IIの葉表面は granule-crust-amorphism-rod (not erect)-polygon の密-粗な epi-wax などの着生 (状態) を示した. Fsの大きさは主にγ1とΔθ[=θa(最大前進接触角)-θr(最小後退接触角)] に依存していると考えられた.Δθは水滴-葉表面間の相互作用パラメーターであり, 高いγ1で air film が形成されるとΔθ=0または小となるが, そうでないと葉表面の微細構造, 特に epi-wax による roughness の大きいほど大きいΔθを生じた. 葉表面のFsはその濡れ特性に関連しており, 主に,γ1と epi-wax の微細構造の roughness によって生ずるθaとθγの相対的な大きさ (Δθ) により決定されると考えられた.

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