2015 年 6 巻 2 号 p. 43-47
本研究は,睡眠制限が中強度運動時の心拍数に与える影響を明らかにすることを目的とした.対象は健常成人男性11 名とした.運動条件は睡眠充足日,睡眠制限日の2 条件とし,最大酸素摂取量の60%に相当する負荷量にて自転車エルゴメータを用いた30 分間の定量運動負荷を実施した.測定結果は睡眠条件と経過時間を二要因とした二元配置分散分析を用いて検討した.睡眠制限により定量運動時の酸素摂取量は睡眠充足日と比較して有意に変化しなかったが(p=0.25),心拍数は有意に低値を示した(p<0.05).睡眠不足を有する健常者に対して運動処方を行う際に、心拍数を基準とした場合に、通常より生理学的運動強度が高くなる可能性がある.