糖尿病では長期にわたる高血糖や代謝異常によって種々の合併症を引き起こす.糖尿病合併症の中でも最も高頻度に発症するのが糖尿病神経障害である.糖尿病神経障害は多発神経障害と単発性神経障害に大別され,さらに多発神経障害は感覚運動神経障害と自律神経障害に分類される.糖尿病自律神経障害に伴う胃不全麻痺や無自覚低血糖は糖尿病患者の身体活動に影響する要因である.糖尿病リハビリテーションの目的は,患者の健康の維持・改善であり,糖尿病による活動制限や参加制約を最小限にすることである.また,糖尿病リハビリテーションにおいては糖尿病治療の原則,糖尿病合併症をふまえた自己管理行動の重要性を教育することが重要である.