地球科学
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木曽山脈東麓部の断層破砕帯と地形解析からみた山脈の隆起(<特集>内陸盆地の構造と形成プロセス)
加藤 真彰
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2015 年 69 巻 1 号 p. 71-89

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抄録

木曽山脈は2本の活断層破砕帯の間に位置している.伊那谷西縁断層帯は活動的な逆断層であり,木曽山脈の東縁断層として発達してきた.木曽山脈は断層運動により隆起してきたと考えられてきたが,木曽山脈の隆起メカニズムと山脈直下深部での断層面の形状については不明のままであった.この地域は主に白亜紀の領家帯変成岩と花崗岩類から成り,これらは第四紀の礫層により不整合に覆われる.木曽山脈の東麓において,断層群の一般的走向は南北であり,山地と盆地の境界部の低角衝上断層と,これに収斂する山麓内部の高角断層群からなる.これらの断層は,ともに活動的な逆断層であり,木曽山脈を隆起させてきた.これらの断層に沿っては幅広い顕著な破砕帯が形成されている.岩石の破砕程度は破砕帯の東部で高く,徐々に西に向かって破砕程度が下がっていく.航空写真の解読により地形学的リニアメントが多数抽出された.木曽山脈において長さ5kmを超えるリニアメントが約250本抽出された.北東-南西方向と北西-南東方向のリニアメントは山脈の広い範囲にあり,南北方向のリニアメントは山脈東麓に発達する.北東-南西方向と北西-南東方向のリニアメントは南北方向のリニアメントにより切断されている.木曽山脈は断層によって画された複数のブロックに区分され,山脈内の小起伏面はそれらブロックの動きを示している.

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© 2015 地学団体研究会
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