地球科学
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中新世中期,熊野酸性火成岩類の火山豆石を含む凝灰岩から産出した放散虫化石
佐藤 隆春八尾 昭山本 俊哉
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2012 年 66 巻 4 号 p. 117-127

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抄録

熊野酸性火成岩類は紀伊半島における中新世の火山-深成複合岩体である.熊野酸性火成岩類の基底部の層厚30mの凝灰岩層は暗灰色の石質凝灰岩と灰白色の結晶に富むガラス質凝灰岩が互層する.火山灰サイズの石質岩片は泥岩とまれにチャートで構成されている.火山豆石は細粒石質凝灰岩で構成されるものと,結晶に富むガラス質な凝灰岩の殻部を微細な石質凝灰岩が囲むものがある.火山豆石を含む石質凝灰岩から微化石として,放散虫,有孔虫および海綿骨針が検出された.これらの微化石は火道壁岩に由来する岩片に含まれていたものであると考えられる.放散虫化石が示す年代は白亜紀と判断され,さらに絞り込めば白亜紀古世後期-新世前期である可能性が高い.このことから四万十帯の美山コンプレックスあるいは相当コンプレックスが給源火山の基盤を構成していたと推定できる.したがって,本地点の凝灰岩は熊野北カルデラが給源火山であると推定される.

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© 2012 地学団体研究会
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