地球科学
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珪藻Denticulopsis hustedtiiのアクメ・終多産出イベントの生層序学的有効性 ―常磐地域中新統多賀層群の対比への適用―
柳沢 幸夫
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2000 年 54 巻 3 号 p. 167-183

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抄録

珪藻化石帯Thalassiosira yabei帯(NPD 5C)の上部にあるDenticulopsis hustedtiiのアクメ・終多産出層準の生層序学的有効性について常磐地域の多賀層群を例にして検討した.日立市鮎川セクションの国分層,高萩市小浜セクションの小浜層,および北茨城市五浦セクションの大津層について珪藻化石試料を分析した.いずれのセクションでもこの生層準はT. yabei帯内にあって,Thalassiosira tempereiの初産出の数m下位に認められ,産出頻度変化のパターンも3地域で共通していることから,相互に対比できる.また,どのセクションでもD. hustedtiiのアクメ・終多産出層準の下位2-3mに厚さ約3m以上の黒雲母を含む類似した凝灰岩が挟在し,これらの凝灰岩もセットとして確実に対比することができる.したがって, D. hustedtiiのアクメ・終多産出層準は,少なくとも常磐地域では対比に非常に有効であることが示された.

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© 2000 地学団体研究会
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