日本看護研究学会雑誌
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心筋症患者の日常生活上の困難に対するコーピング
森下 晶代
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2007 年 30 巻 1 号 p. 1_49-1_57

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抄録

 本研究の目的は,心筋症患者の日常生活上の困難に対するコーピングの様相を検討することである。研究は質的帰納的研究デザインであり,研究参加者は男性26名,女性4名の計30名,平均年齢54.4±2.06(SE)歳であった。参加者には半構成的面接を行い,面接内容はKrippendorffの内容分析の方法を参考にして分析を行った。分析の結果,心筋症患者のコーピングは【おのれをしのぐ努力をする】【人に頼り,頼られる】【一縷の望みに賭ける】【気持ちに折り合いをつける】の4つカテゴリーで表された。参加者は直面する困難や問題に対して孤軍奮闘し,人的・物理的な期待を通して問題解決を図る努力をし,解決に至らない困難や問題に対しては,考えることを避けたりあきらめたりすることで気持ちを処理していた。これらの結果から,看護者が個々の患者のコーピングに注目することにより,患者が心筋症と共に生きるための援助の手がかりを見出せることが示唆された。

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© 2007 一般社団法人 日本看護研究学会
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