日本看護研究学会雑誌
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看護職の法的責任認識とその関連要因に関する研究
綿貫 恵美子
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2004 年 27 巻 1 号 p. 1_51-1_58

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抄録

  本研究は,看護職の法的責任認識に関連する要因とその関連の強さの解明を目的として,首都圏の病院に勤務する看護職者1,361名を対象に自記式質問紙調査を実施した。質問紙は,法的責任認識についての「医療過誤事例に対する実際的な法的責任判断」「看護職の引責志向性」と,責任認識との関連が想定される「専門職的自律性」「個人特性,職場環境などその他の要因」に関する尺度・質問項目から構成した。重層的な重回帰分析の結果,引責志向性,実際的な法的責任判断に対して,専門職的自律性,Locus of Control,部署での事故に関する勉強会の頻度,関係法規・責任に関する学習経験,学歴などの寄与が明らかになった。これらから,看護職の法的責任認識の向上には,看護職者一般に対する関係法規や法的責任,医療過誤などに関する教育内容・学習環境の充実,医師-看護師間における看護の主体的な関係性の意識の啓蒙教育が重要であることが示唆された。

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© 2004 一般社団法人 日本看護研究学会
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