心身医学
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教育講演
摂食障害の治療Pearls and Pitfalls
鈴木(堀田) 眞理
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2024 年 64 巻 3 号 p. 225-231

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抄録

神経性やせ症の診療での工夫と注意点を概説する.疾病教育は問診から始まっている.臨床検査の第一の目的は器質的疾患の除外である.プライマリケアでは内科的緊急入院の必要性と労作制限を判断する.ホルモンや骨密度など異常を出せる検査をして,心理教育に反映させる.低血糖性昏睡は予防が重要で,排出行為に伴う低カリウム血症の治療は水と食塩による脱水の改善である.低身長の予防は低体重期間の短縮で,低体重のままで骨密度を正常化させる薬物療法はない.患者はやせによる心理的メリットよりも体重増加のメリットが優ると認識したときに体重増加を受け入れる.患者にとって回復過程での大食期が最も辛い時期であることは見逃されている.家族は回復の資源であり,患者との適切なかかわり方を学ぶことでケア負担感が軽減する.回復には,回避としてのやせを手放すためにレジリエンスを高める支援をする.専門職,家族,学校関係者の連携は,険しい治療の中で患者にも彼ら自身にも助けになる.

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© 2024 一般社団法人 日本心身医学会
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