2022 年 62 巻 4 号 p. 326-340
インターネットゲーム障害と診断された小・中・高校生107例の背景因子と外来治療経過について検討した.家族背景では,一人親家庭が46例(43.0%)と多く,44例(41.1%)に逆境体験があった.発達障害といじめられた体験をもつ例がそれぞれ38例(35.5%)であった.睡眠では入眠障害が63例(58.9%),昼夜逆転が39例(36.4%)いた.学校生活では不登校45例(42.1%),部分登校32例(29.9%)であった.親から注意されたとき,91例(85.0%)に暴言や暴力がみられ,警察介入が8例,精神科入院が5例いた.通院回数は5回以下が65例(60.7%)と多かった.1年間治療を継続できた41例中,37例(90.2%)で改善かやや改善がみられた.3~5年後の親からみた経過は,調査できた88例中66例(75.0%)が良好であり,22例(25.0%)は変わらないか,さらに悪化していた.子どものインターネットゲーム障害の外来治療では通院が継続しない例が多いが,1年後の経過が改善しているケースは3~5年後の経過がよかった.