心身医学
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特集 心身症再考—7 holy diseasesを超えて—
内分泌・代謝領域の心身症再考
深尾 篤嗣高松 順太花房 俊昭今川 彰久
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2020 年 60 巻 2 号 p. 142-149

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抄録

7 holy diseases以降に重要になってきた内分泌・代謝領域の心身症における心身医学的研究の知見について紹介した.

糖尿病では発症や経過に影響するさまざまな心理社会的要因が明らかとなっている. また, 心身医学的アプローチとしては, うつ病合併例では抗うつ薬が有効なほか, エンパワーメント, アクセプタンス&コミットメントセラピー, 解決志向アプローチ, コーチング, ナラティブ・アプローチなどが有用である. クッシング症候群ではうつ病との鑑別がしばしば問題となる (偽性クッシング症候群). また, Soninoらの一連の研究は, 下垂体性のクッシング病の心身症的側面を示唆している. 摂食障害はDSM-5によると, 神経性無食欲症, 神経性大食症, むちゃ食い障害に分けられ, 現在最も有効なエビデンスのある心理療法は認知行動療法である. 肥満症患者の心理的特徴は, ①低い自己評価, ②困難な問題を回避する傾向, ③すべての欲求や衝動に対する自己コントロールが不良という3つにまとめられ, 必ず減量に加えてストレスマネジメントや認知行動療法などの心身医学的アプローチが必要である.

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© 2020 一般社団法人 日本心身医学会
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