本研究は, ある場面に置かれたときの自律神経の反応である心臓の拍動状況に注目し, 自律神経の安定不安定者の判定のための質問紙を開発することである. 研究者が考案した質問項目と女子大学生が緊張する場面として記述した項目を参考に質問紙を作成した. 回答は5段階リッカートスケールとした. 青年期の女子学生67名に対して, 調査および能動的起立負荷による自律神経機能を測定した. 得られたデータは, 因子分析, 判別分析により信頼性, 妥当性を検討した. 最終的に質問項目は18となり ｢予測がつかないときの緊張｣, ｢学業に伴う課題に直面しているときの緊張｣, ｢他者との関係における差し迫った緊張｣, ｢対処が漠然としているときの緊張｣, ｢予期せぬ出来事に直面したときの緊張｣, ｢意図が予測できないときの緊張｣, ｢行動を決断するときの緊張｣ の7因子で構成されていた. その結果因子負荷量0.782～0.484, 全18項目の情報量のうち7因子の情報量の割合を示す累積寄与率69.397%, 全体の判別的中率は82.1%で, 信頼性, 妥当性はほぼ確保された.
