心身医学
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摂食障害患者と家族への多層的サポートシステムの試み
浅野 浩子生野 照子
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2007 年 47 巻 12 号 p. 1023-1028

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抄録

近年,摂食障害が増加し,本人や家族を長期的にサポートしていくシステムの重要性が指摘されている.しかし,治療やサポート体制という社会資源の情報の少なさが本人や家族を二重に苦しめているのが現実である.本稿では,これらの現状を踏まえてわれわれが独自に試みている「多層的サポートシステム」を紹介し,その意義を述べた.このシステムは,個別治療と小グループ(グループミーティング)・中グループ(セルフヘルプグループ)・大グループ(グループネットワーク)という3つのグループの組み合わせから成り立っている.そして,これらグループの特徴はいずれも相補的であり,多層的に構造化することでよりいっそうの効果が発揮できるといえる.個別治療をベースとしながら,グループを通して社会とのつながりをもち続け,広い視野から摂食障害について考えていくことが重要であり,そのためには利用できる社会資源が存在することが大切であると考えられる.

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© 2007 一般社団法人 日本心身医学会
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