心身医学
Online ISSN : 2189-5996
Print ISSN : 0385-0307
ISSN-L : 0385-0307
『行動制限を用いた認知行動療法』が有効であった, 経口摂取ができず著明なやせをきたした嘔吐恐怖の1例
雨宮 直子野崎 剛弘植田 美津子高倉 修河合 啓介瀧井 正人久保 千春
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 45 巻 11 号 p. 873-879

詳細
抄録

強い嘔吐恐怖から経口摂取が困難となり, 著明なやせをきたして当科に入院となった13歳女子の1例を経験した.本症例は, 12歳時に嘔吐する友人をみて, 「食べると嘔吐するのではないか」という恐怖をおぼえたことが, 経口摂取が困難となったきっかけであった.肥満恐怖は明らかではなかった.心理検査では不安と抑うつが高い傾向を認めた.仕事が忙しい母親を気遣いながら母子家庭で生育した患者には, 感情表出に乏しい傾向がみられた.本患者では, 嘔吐恐怖からくる食べることに対する不安など, さまざまな不安に対する回避反応として経口摂取量が低下し, 体重減少をきたしていることが問題と思われた.本症例に対し, 回避を遮断する「行動制限を用いた認知行動療法」を用い, 有効であったので報告する.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本心身医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top