心身医学
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在宅酸素療法における患者側からみた現状と心理的負担の検討
板倉 康太郎飯田 益子星野 健鈴木 順毛利 孝大内 恵
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2000 年 40 巻 6 号 p. 465-470

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抄録

当院では1993年5月より64例(うち死亡26例, 中止2例)に在宅酸素療法(HOT)を施行してきた.実際患者の役に立っているのか, 心理的負担はどうか, 心理カウンセリングなどの必要性はないのか, また家族はどう考えているのか患者側からみた現状を調査したことがなく, また現在の患者指導のままでよいか, 生活状況を把握するため, 現在実施中のHOT患者36例にアンケートを郵送で送り, 27例に回答を得た.男性20例, 女性7例, 平均年齢74.5歳だった.その結果HOTは食欲の改善, 睡眠の改善には寄与していた.酸素機器は80%の人が自分で取り扱えた.しかし, 息切れの改善は22%にとどまり, 出歩きにくい, 動作が鈍くなりタクシー運転手に気を使うなど, 社会生活の改善に必ずしも寄与しておらず, 電気料金負担と年金生活の心理的負担, 家族がいない, 寒冷への不安, 部屋中酸素チユーブが混乱しているなど, 高齢者としての問題をそのまま抱えていることがわかった.

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© 2000 一般社団法人 日本心身医学会
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