心身医学
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ディナーセッションを実施した神経性食欲不振症 : 適切な病態理解とその効果
松林 直東 豊小山 進椋田 稔朗森田 哲也小林 伸行玉井 一久保 千春
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1997 年 37 巻 5 号 p. 371-376

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抄録

10歳の神経性食欲不振症女児を治療した。学校での不適応, 姉弟葛藤などに端を発し, 母親の過干渉が持続因子であると考えた。母親に心理教育を行い, 学校や家庭という葛藤環境から患者を一時的に分離し, 経管栄養を併用した身体管理を目的に入院治療を行ったところ, 体重増加がみられた。しかし, 退院後まもなく頭痛, 不登校, 拒食などさまざまな症状が再燃した。そこで, 母親の過干渉が問題と考え, 患者を母親から離して入院させ, 前回入院と同じ方法を試みたが, 経口摂取せず, 体重も増加しなかった。そこでMinuchinらの方法でディナーセッションを行ったところ, 体重増加がみられたため, 通院治療に切り替えた。その後は体重増加も順調で, 学校給食も摂取し, 休まずに登校している。退院約8ヵ月後に治療を終結した。

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© 1997 一般社団法人 日本心身医学会
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