2015 年 42 巻 3 号 p. 213-219
【目的】本研究の目的は,電流強度および電極貼付部位の違いが経頭蓋直流電流刺激(transcranial direct current stimulation;以下,tDCS)の効果に与える影響を明らかにすることとした。【方法】対象は健常成人9名とした。tDCS介入条件は,陽極電極を左一次運動野領域に貼付し,陰極電極を対側前額部または対側一次運動野領域(bilateral tDCS)に貼付し,1.0mAまたは2.0mAにて10分間刺激する計4条件とした。各条件におけるtDCS介入前後に経頭蓋磁気刺激により左一次運動野領域を刺激し,運動誘発電位を記録した。【結果】bilateral_2.0mA条件においてのみtDCS介入前に比べ介入終了2分後,10分後の運動誘発電位が有意に増大した。【結論】bilateral tDCSにより2.0mAにて刺激することで,大脳皮質の興奮性が安定して増大することが明らかになった。