2012 年 39 巻 2 号 p. 120-121
本研究では,変形性膝関節症(以下,OA)患者の身体組成・血液所見・身体機能・運動継続および運動に対する自己効力感について手術前後の変化および肥満・非肥満群で比較することにより,肥満症の有無が人工膝関節全置換術(以下,TKA)患者の運動に対する自己効力感に与える影響を検討することを目的とした。対象は,当院でTKAを施行し,術後在院日数が4週間以上であった入院患者29名とした。評価項目は身体組成,血液所見,血圧値,身体機能,疼痛検査,運動習慣,運動に対する自己効力感,身体活動量とした。結果として,各群における術前後の比較において,両群で血液所見の改善と非肥満群でのみ身体活動量と運動に対する自己効力感にも有意に改善が認められた。これらの結果から,理学療法士が運動器障害をもつ患者に対して入院中に身体活動量とSEEを向上させることができ,退院後の運動習慣へつなげることができる可能性を示唆した。