理学療法学
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平成22年度研究助成報告書
自己身体の知覚能力の低下は歩行安定性に影響するのか?
―高齢者の転倒予防を目的として―
中野 英樹野崎 誠大村 豊大住 倫弘川見 清豪森岡 周
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キーワード: 高齢者, 知覚能力, 歩行
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2012 年 39 巻 2 号 p. 110-111

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抄録

【目的】本研究の目的は,高齢者の足底知覚能力と歩行安定性との関連性について検討することである。【方法】対象は,通所リハビリテーションを利用しており,歩行補助具なしで独歩可能な高齢者30名とした。対象者には,硬度の異なる5段階のスポンジを足底で弁別する知覚課題を実施し,この時の正答数を足底知覚能力の指標とした。また,無線型三軸加速度計を用いて自由歩行条件下の体幹加速度を測定し,歩行安定性を表わすRoot Mean Square(RMS)を算出した。【結果】足底知覚課題の正答数とRMS側方成分との間に中等度の負の相関を認め(r = -0.51,p < 0.01),RMS垂直成分との間に中等度の負の相関を認め(r = -0.57,p < 0.01),RMS前後成分との間に中等度の負の相間を認めた(r = -0.55,p < 0.01)。【結論】通所リハビリテーションを利用している高齢者の歩行安定性には,足底知覚能力が関与することが示唆された。

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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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