理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
1996年度研究助成論文
デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者が歩行不可能となる原因について
植田 能茂藤本 康之山本 洋史
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 25 巻 5 号 p. 277-282

詳細
抄録

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者の歩行が不可能となる原因を探った。DMD患者14名を10歳までに歩行能力を喪失した群(7名: 年少群)と10歳以降も歩行可能であった群(7名: 年長群)に分け,歩行可能時点と歩行能力喪失時点の筋力,ROM,身長,体重,BMIの5項目で検討した。検査間隔は1年以内で,平均9.2ヵ月であった。年少群と年長群の5項目の可能時点と喪失時点の比較では,可能時点で年少群の5項目は年長群を上回っていた。しかし喪失時点では年少群のROMのみが年長群より低下した。また年少群ではROMの変化が最も大きく,年長群では5項目の低下は均等であった。さらにROMの左右差は年少群でのみ増大した。以上のことから歩行不可能となった主な原因は,年少群が下肢のROM制限と左右差の増大,年長群が種々の項目の低下であった。特に年少群の急激なROM制限の増大は二次障害である可能性が高く,伸張運動の重要性が示唆された。

著者関連情報
© 1998 公益社団法人 日本理学療法士協会
次の記事
feedback
Top