1994 年 21 巻 1 号 p. 29-33
片麻痺例の基本動作において,いわゆる健側の上下肢によって支持面を押すため正中軸をこえて麻痺側方向へ転倒するPusher現象は左半個無視にともなうことが多い。
そこで脳血管障害による左半側無視22例を対象に,坐位・立位・歩行におけるPusherスコアを操作的に定義し,その重症度を規定した。
Pusher現象は,坐位よりも歩行時に顕著であった。Pusher現象は,半側無視の重症度とは必ずしも関連せず独立した症候である可能性があり,経過と共に変化する例があった。