1991 年 18 巻 5 号 p. 513-520
従来,諸家により多くの腰痛体操が報告されているが,各々その科学的裏付けが乏しくかつ患者の病態に関わらず画一的に行われている傾向にある。今回我々は椎間板造影施行時に再現痛(daily pain)を得る椎間板性腰痛症と思われる患者を対象に,椎間板造影と脊髄腔造影の機能撮影像,さらに単純X線像から比較検討を行った。その結果,後屈時痛群と前屈時痛群で椎間板造影においてのみ全く逆の変化を示し,腰痛の発生には椎間板内圧に加え髄核の動きも何等かの影響が示唆され,腰痛の病態に応じた腰痛体操を指導する必要性が考えられた。さらにその結果を基礎に運動療法を患者群に施行し,全症例において良好な結果を得た。