理学療法学
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助成研究論文
ラット膝関節2週固定後の拘縮に対するストレッチが関節構成体に及ぼす病理組織学的影響
武村 啓住細 正博由久保 弘明松崎 太郎小島 聖渡邊 晶規立野 勝彦
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2004 年 31 巻 1 号 p. 76-85

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抄録

関節固定後の拘縮の治療手段としてストレッチが関節構成体に及ぼす影響を観察する目的で研究を行った。対象は9週齢のWistar系雄ラット16匹(正常群,拘縮群,非治療群,治療群それぞれ4匹)を用いた。正常群は2週間通常飼育を行った。拘縮部は膝関節最大屈曲位で2週間ギプス固定して飼育した。非治療群は,拘縮作製後,ギプス除去し2週間通常飼育した。治療部では,拘縮作製後,ストレッチを2週間施行した。ラットは安楽死後,膝関節とハムストリングスを採取し,組織に対してヘマトキシリン・エオジン染色を行った。組織の観察は,滑膜組織,滑膜軟骨移行部,関節包後部,ハムストリングス中央部で行った。結果,拘縮部では滑膜細胞の萎縮と増殖,関節包の密性化,筋線維束間の狭小化が起こっていた。この変化が,治療群では正常群に近い状態へ回復傾向を示しており,非治療群では治療群ほどの回復は見られなかった。このことからストレッチは固定によって生じた関節拘縮の治療として有効な手段である事が示唆された。

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© 2004 公益社団法人 日本理学療法士協会
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