アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
原著
アレルギー性気管支肺真菌症における抗酸菌症類似画像所見の頻度と肺非結核性抗酸菌症合併例の特徴
尾下 豪人緒方 美里井上 亜沙美佐野 由佳吉岡 宏治池上 靖彦山岡 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 72 巻 1 号 p. 37-43

詳細
抄録

【目的】アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)患者における抗酸菌症類似画像所見の頻度,非結核性抗酸菌症合併例の特徴を明らかにする.

【対象と方法】過去8年間にABPMとして診療された患者をカルテ病名から抽出し,臨床診断基準に合致した32例を後ろ向きに検討した.

【結果】年齢中央値は62.5歳(範囲24-79歳),21例が女性だった.既往歴に22例で喘息,4例で陳旧性結核があった.CT所見では29例で中枢性気管支拡張,26例で小葉中心性粒状影,3例で縦隔リンパ節腫大を認めた.肺MAC症が4例で合併し,肺MAC症診断時期は,ABPMと同時が2例,ABPM診断前が1例,ABPM治療中が1例だった.ABPMの主病変は肺MAC症の病変と異なる部位に発生した.

【結論】ABPMと抗酸菌症は類似した画像所見を呈するだけでなく,同時性,異時性に合併しうる.肺MAC症とABPMの合併には患者の体質や生活環境など,両疾患に共通する危険因子が強く関与している可能性がある.

著者関連情報
© 2023 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top