2023 年 72 巻 1 号 p. 37-43
【目的】アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)患者における抗酸菌症類似画像所見の頻度,非結核性抗酸菌症合併例の特徴を明らかにする.
【対象と方法】過去8年間にABPMとして診療された患者をカルテ病名から抽出し,臨床診断基準に合致した32例を後ろ向きに検討した.
【結果】年齢中央値は62.5歳(範囲24-79歳),21例が女性だった.既往歴に22例で喘息,4例で陳旧性結核があった.CT所見では29例で中枢性気管支拡張,26例で小葉中心性粒状影,3例で縦隔リンパ節腫大を認めた.肺MAC症が4例で合併し,肺MAC症診断時期は,ABPMと同時が2例,ABPM診断前が1例,ABPM治療中が1例だった.ABPMの主病変は肺MAC症の病変と異なる部位に発生した.
【結論】ABPMと抗酸菌症は類似した画像所見を呈するだけでなく,同時性,異時性に合併しうる.肺MAC症とABPMの合併には患者の体質や生活環境など,両疾患に共通する危険因子が強く関与している可能性がある.