アレルギー
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小児喘息の成人喘息移行因子の検討
菅野 訓子吉原 重美有阪 治野田 雅行
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2010 年 59 巻 1 号 p. 25-36

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抄録

【背景・目的】成人喘息における小児喘息の移行率や再発率を知り,さらに成人喘息移行因子を知るためにアンケート調査を行った.【方法】西方病院を受診した成人喘息患者822名において成人発症喘息群,小児発症喘息群,成人再発喘息群の割合を検討した.次に小児発症喘息群および成人再発喘息群の両群において成人喘息移行因子を調べるために,小児喘息寛解群(153名)と比較検討した.【結果】1)成人発症喘息群531名(64.7%)小児発症喘息群168名(20.4%),成人再発喘息群123名(14.9%)であった.2)対照とした小児喘息寛解群に比べ,小児発症喘息群および成人再発喘息群の両群はともに発症年齢が高かった.さらに,予防的治療を受けなかった者が多く,予防的治療を受けた者でも治療開始までの時間が有意に長かった(p<0.01).また,重症度は小児発症喘息群のみ有意に高かった(p<0.01).喫煙率は成人再発喘息群および小児発症喘息群ともに多かった.【結論】1)小児喘息の成人への移行や成人での再発の割合は,成人喘息患者の35.3%であった.2)成人喘息に移行しないためには,喫煙やペット飼育を中止して環境整備を行い,また小児喘息への薬物療法による早期介入などの治療戦略が肝要である.

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© 2010 日本アレルギー学会
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