アレルギー
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成人喘息-European Community Respiratory Health Survey調査用紙日本語版の作成と検証
渡辺 淳子谷口 正実高橋 清中川 武正大矢 幸弘赤澤 晃秋山 一男
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2006 年 55 巻 11 号 p. 1421-1428

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抄録

【目的】成人喘息有病率の国際比較を可能とするために,GINA(Global Initiative for Asthma)で採用されているECRHS(European Community Respiratory Health Survey)の調査用紙について日本での使用妥当性検証を行った.高齢者でのCOPD(chronic obstructive pulmonary disease)による喘息類似の症状出現を考慮し,ECRHSオリジナル調査用紙に2つの質問事項を追加した.【方法】本研究参加アレルギー呼吸器専門施設において主治医に喘息と診断された患者370例,COPDと診断された患者61例,非喘息非COPD(健常群)134例に対して今回作成したECRHS調査用紙日本語版を用いてアンケート調査を依頼しその結果を比較検討した.【結果】過去12カ月の喘鳴は質問項目中で喘息患者と非喘息健常人との鑑別に最も高い妥当性(感度+特異度)を認め,喘息期間有病率の国際比較の指標として有用であることが示された.一方,特異度は過去12カ月の胸のつまりによる寝覚めと息切れ発作による寝覚めで高値であった.高齢者では主治医の診断と本人のアンケート上の回答の不一致が若年者と比較して多かったが,この理由としては,患者自身の疾患についての認識の低さや,本調査が,対面式の回答を確認しながらの調査ではない,自記式アンケート調査によったためと考えられた.【結語】本アンケート用紙は,高齢者における精度及びCOPDとの鑑別の面で問題点は残るも,国際的比較を可能にする点では我が国でも充分使用しうる調査用紙と考えられる.

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© 2006 日本アレルギー学会
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