臨床医学的立場からアレルギー患者に適切な処方を行うためにも, 基礎医学的立場から抗原に関する研究を行うためにも, 空中花粉飛散量を容易かつ迅速に把握する手法の開発が求められている. そこで, 自動的に空中花粉量を測定する第一歩として, 従来は顕微鏡下で目視によって計数していた花粉数計測を, 画像処理手法を用いて自動的に迅速に計測する手法について検討を行った. その結果, 特別な画像処理を行わなくても, ある程度の自動計測は可能であること, ニトロセルロース膜上のむらのような画像上のノイズを除去することが高精度の自動計測を行うために重要であること, レベル補正処理によって計測精度が顕著に向上すること, シャープ化フィルタ処理が, 花粉捕集量を自動計測する際の画像処理手法として最も適切であること等が明らかになった. シャープ化フィルタ処理は操作性の面からも扱いが容易であるという利点がある.