アレルギー
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減感作療法に関する研究 : 1. 皮内反応閾値変遷について
木村 利定堤 博子田沢 昌道森川 昭広
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1979 年 28 巻 8 号 p. 624-632

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抄録

室内塵, 真菌, イネ花粉による皮内反応陽性者114例に等量皮内, 皮下注射法で減感作療法を行い, 皮内反応閾値の変化を指標として retrospective にその効果を調べた.その結果, (1)皮内反応閾値は高濃度抗原液による減感作では低下し, 低濃度抗原液では上昇する傾向がみられた.(2)皮内反応閾値は減感作濃度:皮内反応閾値の比が1:10以上で上昇し, 1:100以下で低下する傾向がみられた.(3)減感作療法による皮内反応閾値の変化には改善, 回転, 不変, 悪化の4型がみられた.全患者での比率は19.6%, 56.5%, 10.1%, 13.8%であった.(4)回転型では, 皮内反応閾値は多量の抗原注射で低下し, 少量の抗原注射で上昇がみられた.(5)皮内反応閾値の変化と臨床症状との間の関係は少なかった(34%).以上の結果から, 減感作療法における注射抗原量は皮内反応閾値の変化に関係し, 機械的に行われる増量法の危険性を示唆するものと思われた.

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© 1979 日本アレルギー学会
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