アレルギー
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RAST法で抗小麦粉IgE抗体を証明したのち, 2年半にわたつて減感作療法を行つた製パン工小麦粉喘息の一例
宮地 純樹伊藤 幸治牧野 荘平信太 隆夫森田 寛宮本 昭正
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1975 年 24 巻 9 号 p. 650-655,688-68

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抄録

27歳, 男, 製パン工.数年前より就労日のみに喘息発作をおこすようになった.小麦粉エキスによる皮膚・粘膜反応とも陽性, 小麦粉エキスを用いてのRASTにて血清中の抗小麦粉IgE抗体を証明した.小麦粉エキスを除蛋白すると皮膚反応の閾値は上昇するがなお陽性であること, RASTのcpmが比較的低いことより, 小麦粉の抗原性は主として蛋白成分にあるが他の部分にもあることが推察された.小麦粉蛋白質の主成分であるグルテニンおよびグリアジンを用いてのRASTおよびこれらにより血清を中和した後のRASTの成績から, 小麦粉蛋白質の抗原性はこの両成分に存することが証明された.その後この患者は2年半にわたって減感作療法をうけ, 皮内反応閾値は上昇したが臨床症状に著明な改善はみられなかった.小麦粉による職業性喘息の治療には, 転職, 環境改善などの社会的指導が重要であって, 滅感作療法を過大評価すべきでないと考える.

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© 1975 日本アレルギー学会
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